着物を貸してと言われました。どう断ればいいと思いますか?

貸せないと断ることは、『悪』でも『失礼』な事でもありません。

大前提は 貸す、貸さないは自由でございます。貸してほしいといわれた時のご自身のお気持ちを まず最優先に大切にお考えくださいませ。

一般的に、『お断り』は苦手である方が多いかもしれません。

そして、『上手な断り方』が思い浮かばずに、せっかく貸してほしいと頼ってきていただいたにも関わらず、お断りしたいご意向をもたれているご自身に杞憂される方もあるかもしれません。そうなりましたら、大変恐れながらご提案したい事柄がございます。いわずもがな、世の中の価値観は様々で、貸せないということは『悪』でも『失礼』でもなく、もっと言えば、気になさらなくて大丈夫な事と、お考えの片隅に留め置いていただければとご提案です。

貸す理由、貸さない理由

ご自身にとって大切なものを貸してほしいと言われるのは、なかなか辛い状況かと考えます。貸してほしいと仰る方との距離感や人間関係も遠からず関わってくる事態でしょう。お断ること自体に憂鬱になってしまったり、お断りする場合は、どうしたら お相手に失礼のないようにおさまるのか、色々と気を揉んでしまわれるところかもしれません。では、どうだったら貸しますか?どうだったら貸しませんか?という理由について、深堀して全力で考えました。

どうだったら貸しますか?

  • 近しい方でお着物を着られる方が他にない
  • 例えば中には仕付け糸がついたままという多くのお着物をお持ちで、そのままにしておくよりも、たくさん着て貰った方が着物も喜ぶとのお考えから
  • 人間関係は一生の宝物になるとのお考えから
  • 大切なお着物であるほどに、新しい門出やおめでたい行事へのお貸出しは、そのお着物の重みと歴史を重ねるようで、誇らしく嬉しい

どうだったら貸しませんか?

  • 大切なお着物なので、そもそも貸す意思がない
  • 貸してシミなどがついたり、丁寧な扱いをされないだろう事が憂鬱
  • 過去に他人様へのお貸出しで苦い経験をお持ち
  • クリーニング代や貸すお礼についてのやり取りをする煩わしさを回避したい

お断りするときのポイントはありますか?

  • 『このような事なので、お貸しできません。』を簡潔にわかりやすくお伝えする

お断りする場合の理由は、誠実で分かりやすく、簡潔にお伝えされる方が双方の混乱を招きません。

『このような事』とは??

  • 着物にも流行があるので自分の持っている着物は古くて今の時代に適さない
  • レンタルの方がご自分で好みの色柄が豊富に選べるかつ返却方法も簡単
  • 現在 洗い張りに出している最中で、仕立て直そうとしている
  • すぐに貸せる状態でない_保存状態が悪く、例えばカビとカビの臭いがすごくクリーニングに出しても時間を要する
  • 当分着る予定も無いので、必ずクリーニングに出して返してほしい希望を伝える。お着物のクリーニング代は高額であるけれど、ご了承いただけるかお伺いを添える

お貸しするときのポイントはありますか?

  • お返しいただく際の取り決めごとを簡潔にわかりやすくお伝えする

お貸しする場合は、お返しいただく際の取り決めごとを簡潔にわかりやすくお伝えされることをご提案いたします。後々、双方に混乱を招かないように最善を尽くされてください。繰り返しになりますが、お着物のクリーニング代は高額でございます。お着物を扱いなれていない先にクリーニングに出してほしくない際は、予め、お貸しする側にて希望されるクリーニング先(店舗)でお願いしたい旨も添えられた方が、円滑でございます。

お着物を貸す、貸さないは自由です。

貸してほしいとお伝えくださる方と、貸してほしいといわれた方との価値観やお考えは、双方 推し量る事は難しいことです。お貸しする事も、お貸しすることをお断りになる事も、初めてそのような場に身を置くと、なかなか思いを巡らせてしまう展開かもしれません。貸す、貸さないを決めるのは、ご自身です。貸してほしいとお伝えくださる方を尊重しながら、簡潔にわかりやすくご自身のご意向をお伝えできればよいですね。

ご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。